1/100スケールの五重塔を設計しています。材料は、本物と同じ(と推定される)吉野ひのきです。
1ミリ厚と2ミリ厚の薄板を設計通りにレーザーカットします。
パーツ点数は700点以上。
強度の必要な箇所には木工ボンドを使いますが、基本的には当社らしいはめ込みパズルのような仕組みになっています。
建物の中心に立つ「心柱」
テーパー状の八角形(八角錐)です。
いわゆる大黒柱と違って、この心柱は建物の強度にまったく関わっていません。建物とは接していないのです。
(実際には、小さな板で内部構造に当てています)
八角すいの頂点が建物のてっぺんです。
その上には、円すいの細い柱がつき、屋根の上からはみ出しています。そこに銅製の飾りを差し込んでいます。
この部分、ホワイトメタルか吉野ひのきで単純化したパーツを標準セットにして、3Dプリンター(できれば銅製)で出力したリアルなパーツを受注生産する、とも考えています。
全高33mの内訳は、この飾り柱が1、建物が2の割合です。けっこうな大きさですね。
扉は開閉式です。
しかしですね、
この初重(1層目)の周囲には「もこし」と呼ばれる壁が立てられています。
完成すると、扉に手が届かないのです、、、。
また、もこしにも扉があります。今日、塔の入り口になっている部分です。
初重の扉は外開きで、もこしの扉は内開きです。
これらを連動して外部から開閉できるようなカラクリを組み込むと楽しいかなと思います。
また、二層目から四層目まで、4辺に小さな窓がつきます。
そのうち、南側の窓だけ、開閉できるヒンジがつくのです。
しかし元々、塔自体が飾り物であって、上まで登れる階段や、そもそも人が歩けるスペースもありません。
開け放つことはあるのか?
ここは考えても答えが出ないということで、法隆寺に電話で問い合わせました。「登ったことがある」という住職が対応してくれました!
結論から言いますと、点検の際に登って、窓を開けることがあるとのことです。まず、もこし北側にあるハシゴで初重北側の屋根にあがり、北窓から入る。二層、三層、四層までよじ登り、窓を開ける。ただし二層目は北側の窓が開くとのこと。ここらあたりは、キット発売直前に、現地で再確認します。
五層目まで、積み重ねてみました。
まだまだこれから細かい寸法やはめ合いを調整していきます。
それと、レーザーカットすると、カット面の焦げが気になりますね。
こんな具合です。このまま組み立てても、よく言えばメリハリがつきますが、
せっかくの吉野ひのき、組立後に目立つ部分だけでも丁寧に焦げを削っておくと見栄えがぐっとアップします。
こんな工具を作りました。
市販のミニ万力に、パーツ固定用の板をつけています。
また、机を傷めないよう、板状の保護材も設計しました。
ヤスリは、ひのきや航空ベニヤに#320の紙やすりを貼り付けています。
やすりを2~3往復させるだけで、パーツの上面も内部も、
あっという間に焦げがとれます。
めんどうな作業かと思っていましたが、むしろ楽しい工程が加わったような感覚です。
この工具も別売予定です。
法隆寺五重塔は、昭和のはじめに解体修理されています。
建てられたのは西暦600年頃、その後、焼き討ちにあい、現在、我々が見る五重塔は700年頃に再建されたものだそうです。
1300年の間に、何度か修理されており、この報告書には、当初の材、中世、慶長、元禄以降の材を見分けた図まであります。
また、五層目(一番上)の屋根は、元禄修理時(推測)に、急こう配に変更されています。
建てられた当初から、内部も外見も変更を受けてきたということですね。
それらの情報をもとに、1/100スケール(高さ約33cm)のミニチュアキットとしてふさわしい姿に仕上げていきます。
というわけで、途中経過をお伝えしました。
当社初の木製キットに、ご期待くださいませ。
※木材を使った製品は、一度に大量生産できません。また、今後、同じ材料が入手できるかもわかりません。
少し気が早いですが、「仮予約」という形で、ご希望を承ります。
まだ販売価格も決定していませんので、発売前に当社からご注文確認いたします。
もちろんキャンセル可能です。